【実施報告】第4回外国籍県民相談等に関する研修会

1.目 的:相談対応の向上等を含めた相談業務に必要なスキルの習得のため

2.日 時:2021年1月13日(水) 18:00~20:00

3.実施方法:オンライン会議システムZOOMを使用

4.対 象:神奈川県内 外国人相談窓口関係者ならびに外国人支援活動団体、教育関係者等

5.参加者:45名 (相談員4名、あーすぷらざ職員4名含む)

6.講 師:多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net) 事務局長 高橋清樹 氏
多文化ユースプロジェクト代表 王 希璇 氏

7.テーマ:外国につながる子どもたちの学習における現状とこれから ~この1年を振り返って~」

8.内 容:
【講義】①王 希璇 氏 ②高橋 清樹 氏 (約1時間)
休憩(10分)
【トークセッション】高橋清樹 氏、王希璇 氏(約20分)
ファシリテーター:あーすぷらざ外国人教育相談 水本みゆき氏
【まとめ】

9.成 果:
コロナ禍のこの1年、「学ぶ」環境や方法が変化したり、教育に関する情報が錯綜したりという状況から、今回は「教育」をテーマに、現場で外国につながる子どもたちを支援しているME-net事務局長 高橋氏、多文化ユースプロジェクト代表 王氏を講師に迎え、さらにトークセッションでは当あーすぷらざ外国人教育相談コーディネーター 水本氏を加えてのオンライン開催となりました。
平日夜の開催にもかかわらず、オンライン開催ということもあって県外からも申し込みを頂き、福祉、学生、専門家など、幅広い分野の方にご参加いただきました。

第一部は王氏の講義から始まり、多文化ユースプロジェクトの活動紹介、多文化ユースプロジェクトで関わっている子どもたちの事例を挙げ、どのような外国につながる子どもたちがいるのかの紹介があった。支援の在り方について、一つの正解はなく、(支援する側は)子どもたちに関心を持つことが一番の正解、と講師自身の経験から感じていることをお話しいただきました。また、多文化ユースプロジェクトの学生たちで行ったコロナ禍におけるアンケート調査についても紹介され、収入減少による学費の問題や、学習・ことばの遅れの問題など、様々な学生たちの声が寄せられていた。成功例だけがロールモデルではなく、(外国につながる子どもが)こう生きているよ、というロールモデルが理想的ではないかとの言葉があり、支援に携わる参加者の胸にも響いたことが終了後のアンケートからも感じられました。最後は、多文化ユースプロジェクトの目的について、「日本で生活している外国に繋がる若者の存在を知って欲しい。日本社会の一員として認め、平等に共生できる環境を作っていく、そのための活動や社会への発信をする」、日本で暮らしているということは、点ではなく“線”のイメージである、というメッセージで締めくくられました。
続く高橋氏からは、冒頭にライフコースにおける4つの壁として①基礎学力定着②高校進学③高校での学習定着④社会参加自立について紹介があり、その後、外国につながる児童・生徒をめぐる4つの諸課題を挙げ、サポートの仕方についてのアドバイスも含めてお話いただきました。日本語や教科学習に意欲が持てない生徒への学習指導の事例や、在留資格による進学の影響などの説明に加えて、例えば、障がいのある生徒や保護者への対応については、障がいの名前をつけることばかりが重視されているが、障がいがあるかどうかが目的ではなく、適切な支援は何かを考えることの重要性について話があった。また、報道されているように「不就学」についても大きな問題であり、実態調査が必要である点など訴えていただき、講義の中で県内や海外の事例なども織り交ぜながら、講義と質疑応答は終了しました。

第二部では、事前にいただいた質問を中心に、水本氏を交えてのトークセッションを実施しました。情報へのアクセスについてなど、まさに参加者も含めてシステムやネットワークの構築、連携の重要さを再認識する機会となりました。他にも、教育現場の方や、日本語学習支援者の方など多くの方から質問が寄せられ、中身の濃い2時間となりました。

<アンケートより>
・生の声が聞けて、対象児童がおかれている環境や対応の理解が深まった。
・主体的に学ぶ姿勢を育てる、日本に来たくなかった子どもが多い、聞き書きによる日本語指導などが印象的でした。王さんの来日当時のお話も印象に残りました。
・支援者の具体的な対応方法を教授してくださり、すぐにでも活用できそうだった
・主体的に学ぶ姿勢を育てる、日本に来たくなかった子どもが多い、聞き書きによる日本語指導などが印象的でした。王さんの来日当時のお話も印象に残りました
・支援者として、教えること以前に子供は自分のことに関心を持ってほしいと思っているということがわかりました。
・具体的なお話の中で、グッとくるお話がたくさんありました。日本語の指導者を目指す上での、目的が見えた気がします。この様な機会をいただき感謝致します。

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。