【実施報告】第4回外国籍県民相談等に関する研修会

1. 目 的:相談対応の向上等を含めた相談業務に必要なスキルの習得のため

2. 日 時:2019年 11月 25日(月) 18:00~20:00 

3. 場 所:かながわ県民センター 303号室、304号室

4. 対 象: 神奈川県内各市区町村の外国人相談窓口担当、国際交流協会、国際交流ラウンジ、NPO、市民団体、支援団体、教育関係者等

5.参加者:66名
(あーすぷらざ教育相談窓口スタッフ10名、あーすぷらざ多文化共生・情報課 職員4名含む)

6.講 師:あーすぷらざ外国人教育相談窓口 
     コーディネーター(Co.) 加藤佳代、平塚淑江、水本みゆき
     サポーター(Sup.) 清水秋惠、山下ジューリア、上村由紀、高橋メラニー
              豊田ユリ、宮嶋ジャネット、西之原愛子

7.テーマ:「外国につながりのある子どもたちの教育における可能性
          ~14年目を迎えるあーすぷらざ外国人教育相談窓口から~」

8.内 容:   1. 教育相談窓口の紹介 
       2. 分科会 
        ①進路と将来を見据えたサポートとは
        Co./加藤佳代、Sup./ 清水秋惠、山下ジューリア
       ②若者・子どもにとっての「ことば」の大切さ
        Co./水本みゆき、Sup./ 上村由紀、高橋メラニー
       ③学校と家庭のコミュニケーションについて
          Co./平塚淑江、Sup./豊田ユリ、宮嶋ジャネット、西之原愛子
       3.全体共有

9.成 果:
 第4回研修会では、今年度のテーマとして研修会の実施を望む声の多かった教育をテーマとし、当教育相談窓口のスタッフ(コーディネーター、サポーター)計10名と当課職員を講師として、14年目となる窓口の紹介と分科会という2部構成にて、研修会を実施しました。
 本年度は初めて今回教育をテーマに扱ったことから、通常の研修会案内先に加えて日本語や母語といったことばの学習支援団体や学校・教育委員会などの教育関係者などもふくめて、広く広報活動を行ったこともあり、当日も入管関係者や国際交流協会、国際交流ラウンジ、外国籍県民の支援者や大学教授に加え、教育に携わる先生や学生など多くの方々にご参加いただきました。参加者には、教育相談窓口の案内資料(パワーポイント)、各分科会資料、その他参考資料として神奈川県行政書士会作成外国籍の子どもとビザに関する資料や、外国籍の子どもに関する新聞記事など計11部を配布しました。

 第1部では、あーすぷらざ外国人教育相談窓口の沿革や取組事例、相談内容の内訳、事業の特徴などを説明。教育相談窓口を知っていた参加者が約6割、知らなかった参加者が約4割でしたが、そのうち利用したことがあったのは33%のみであったため、あーすぷらざの相談の仕組みや取組を新たに知ることができた、という参加者も少なくありませんでした。特に窓口の特徴である「コーディネーターとサポーターのペアで対応」、「先生や支援者も対象であること」、「教材、多言語資料を実際に見ながら相談できる」という3点についてメモを取る様子が見られました。また、分科会に先んじて、コーディネーター3名とサポーター7名がそれぞれ母国語などを用いながら自身のこれまでの活動など、自己紹介も行いました。

 第2部は3つの分科会を同時に実施しました。参加者には関心の深いテーマの分科会に参加いただき、スタッフによる講義と質疑応答を行いました。第一分科会では、外国籍の子どもの現状と窓口設立の背景を冒頭に紹介し、進路選択における窓口の役割として将来をどのようにサポーターと考えるのか、保護者、学校、支援者といった多方面からの相談事例をもとに話が進められました。中国と日本との違いや、同じ国の人に話すことが必ずしも相談者にとってメリットではないことと、同じ文化がわかるからこそできるサポートの例なども挙がり、将来的に相談者(子ども)が支援する側となるような働きかけをしたいとの思いにうなずきも見られました。同様に第二分科会では、「日本語指導が必要な児童・生徒の受け入れ状況等に関する調査」内容が冒頭に紹介され、子どもたちの現状を把握したうえで大人とでは、勉強方法等に違いがあり、子どもの不安を解消するサポートが必要との内容で話が進んでいきました。また、母語保持についても述べられ、親子間で母語の活発なコミュニケーションが子どもの日本語能力向上にもつながるとし、母語保持、母語教室が大切だと言う声が参加者からも聞かれました。第三分科会では、まず教育相談でつなぐ内容は不登校、発達に関すること、友人や教師との関係、入試制度の理解など複雑で繊細であるとの説明がありました。続いて、相談窓口が学校・家庭の相互理解を深めるメディエーター(仲介者)の役割を担っていることが示された。「知らないものは見えない」「よいところ探し」をキーワードに、先生方、保護者がそれぞれ子どものために頑張っていることを引き出し、お互いに見えるようにする関わりの事例に、参加者が聞き入っている様子が見られました。

 今回の研修会の開催目的としては、複雑化する外国につながる子どもたちの教育における現状や相談を知るとともに、あーすぷらざ外国人教育相談窓口の役割とスタッフの顔を周知することで、それぞれの参加者や関係機関同士でより連携を強めるための第一歩の機会となることでした。参加者からは「経験や実態を基に話が展開されていて分かりやすく聞くことが出来ました」「母語保持の大切さ。それをつなぐ難しさ(を知った)」「具体的な事例を挙げての話だったので役に立った」といった感想も頂戴できました。あわせて今後の教育に関する研修会について多く要望が寄せられており、参加者の関心や現在の県下における外国につながりのある子どもたちに関わる公的機関(教育委員会や学校)、相談窓口、民間の抱えている思いを知ることが出来ました。教育相談窓口を利用したことのあるなしにかかわらず、現在の一堂に会す機会を今後も継続して行い、来年度にまた異なる構成で、教育をテーマとした研修会を実施したいと考えています。