【実施報告】「いま、あらめて考えたい”つながり”~災害時に外国籍県民から見えた景色とは~」

本研修会では、いつ起こるか分からない災害に備える「防災」の観点から、これからの地域防災にも多文化共生の視点が必要になってくることを考え、あーすぷらざとして発信できる方法を模索し、数年ぶりに「防災」をテーマとした研修会を開催しました。

【パネルトーク】
当相談窓口の相談スタッフ3名をパネリストに迎え、それぞれ「災害時の翻訳支援」「子ども達への防災教育」「地域の人とのつながり」と題して、3.11東日本大震災の体験を元に当時感じたことやその後考えたことなどを交えてお話いただきました。

宮嶋氏の「災害時の翻訳支援」では、はじめは昼夜問わず原発に関することや津波の情報等であった翻訳内容が、その後現地へ向かうボランティアの方への情報提供に関する内容に変化していったことをお話いただき、当時現地の東北地方へボランティアとして参加したフィリピン人の方が多くいたことがうかがえました。また急を要する翻訳依頼の場合にはルビ振りをしてあることが大変有効であるとのお話もあり今後に向けて大切な情報をいただきました。

山下氏の「子ども達への防災教育」では、地震発生時に落ち着いて避難をする日本の子どもたちと、パニック状態になったブラジル人学校の子どもたちの様子の違いから、その後の防災訓練の必要性を感じ、ブラジル人学校での防災訓練を取り入れ実践した話を聞くことができました。またブラジルでは地震がないことで普段の生活のなかに地震という概念がないこと、知らないからこそ地震のあとに起こる二次災害(電気ガス水道等が使えなくなる等)をイメージしにくいことをお話しいただいたことで、同じ災害でも国や文化、風習などから想像するものが異なることを知る機会となりました。

チャン氏の「地域の人とのつながり」では、災害当時仕事を終え帰宅が遅くなったチャン氏が、同じマンションに住む近所の夫婦が子どもたちを学校へ迎えに行き面倒を見ていてくれたエピソードから、日頃からの地域の方との関係つくりが大切であること、そのために挨拶を大事に心がけていることなどをお話いただきました。また当時、日本を応援したい、日本のために何かをしたいと考えるベトナム人が多くいたことや、ベトナム人コミュニティで募金活動が多くあったことも共有いただきました。

【意見交換会】
後半の意見交換会では、5つのグループに分かれて、パネリストを交えて意見交換の時間をもちました。参加者からパネリストへ「地域の防災訓練へ実際に参加したことがあるか」や「これまで参加したイベントで楽しかったもの、印象に残っているものについて知りたい」などの質問があり、今後の防災についても有意義な情報交換ができました。「防災」に関するイベントを実施する際は非常食を試食する機会と組み合わせたり、何か楽しめるアクティビティ等を組み込んだプログラムで実施したりすると参加しやすいのでは、といった具体的なアイディアが出たグループもあり、あーすぷらざとしても今後の研修会等について大変有力なヒントをいただきました。
参加者同士が実際に意見を交わす意見交換の時間を多めに組み込んだことは、参加者にとっても有意義であったことがアンケートからもうかがえました。

ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。今後も皆さまからいただいたご意見を反映し、よりよい研修会の場を設けたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

1.目 的:相談対応の向上等を含めた相談業務に必要なスキルの習得及び、より複雑化、専門化する相談内容に対応するための各関係機関との支援体制作りのため
2.日 時:2023年 3月22日(水)18:00~19:45
3.会 場:あーすぷらざ(オンラインZoom開催/中継会場:研修室A)
4.対 象:神奈川県内国際交流ラウンジ、NPO、市民団体、教育関係者、支援団体他
5.参加者:48名(パネリスト3名・あーすぷらざ職員4名含む)
6.パネリスト:宮嶋ジャネット(フィリピン)、山下 ジューリア 真由美(ブラジル)、トルオン ティ トゥイ チャン(ベトナム)
7.テーマ:「いま、あらためて考えたい“つながり”~災害時に外国籍県民から見えた景色とは~」
8.内 容:①パネルトーク:45分 ②質疑応答:15分 ③意見交換会:35分

【当日の様子】

なお、今回パネリストとしてお話いただいた皆さまは当館相談窓口にて相談員としてご活躍いただいています。当外国籍県民相談窓口も、ぜひご活用ください。
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