【実施報告】2023年度 第3回 外国籍県民相談等に関する研修会

今年度第3回目となる外国籍県民相談等に関する研修会を、「介護が必要になった時どうする?-日本で最期を迎えるということ-」というテーマで開催しました。高齢期を迎える外国籍の方が増えているため介護への関心が高まりつつあるので、今いちど介護について学び直し、あーすぷらざとして発信できる方法を模索したいと考えました。

まず、講師の李氏から基本的な介護制度についてのご説明をいただきました。介護サービスの利用を申請する際、外国人は自治体の役所窓口よりも地域包括支援センターで申請することを薦める、と李氏は提言されました。なぜなら、外国人は言葉・文化の違いから地域から孤立しやすいという現状があるため、その地域の高齢者を支援する地域包括支援センターが外国人の存在を把握する必要があるからとのことでした。また、介護制度について利用者が「誤解しやすい点」を交えながら説明する様子は、ケアマネジャーとして日々介護現場に携わる李氏ならではの視点であることがうかがえました。

中国出身の講師は、厚生労働省が中国残留邦人支援の一環として作成する「中国語の対応が可能な介護事業所一覧」の存在を知り、自ら登録を名乗り出たという経歴をお話しされました。一覧の存在を知らないため、事業所に中国語が話せるスタッフがいても登録していない事業所もあるので、とりこぼさずに登録を呼び掛けることの必要性をご指摘されました。その後、実際に在宅で介護を受けている中国人の方の実例を挙げながら、本人のニーズと提供する介護サービスの内容をご紹介いただきました。中国残留邦人のコミュニティ内の情報は限られており、場合によっては誤った情報がながれている危険性があるとのことでした。また、言葉が通じないことで、介護利用者が怪我や痛みを伝えなかったり、我慢したりしてしまうという問題点をあげました。介護士も通訳アプリ等を利用してコミュニケーションを図ろうとするけれども、通訳アプリを使用する分通常よりも対応時間が長くなってしまう実情があるため、外国語対応として超過する分を加味した介護サービスを提供してはどうか、と提言されました。

最後に、生まれ育った国の文化は異なっても、一人一人が経験した個人としての歴史を重視する必要があり、個人を尊重することが大事なのではないか、ということを強調され前半部分の講義の締めくくりとしました。

後半の質疑応答時間では、事前に参加者からいただいた質問とその場であがった質問に講師からご回答いただきました。参加者からは、単位制による居宅サービスの利用限度額の詳細について知りたい、等の質問があがりました。20分という限られた時間ではありましたが、参加者からは途切れることなく質問が上がり介護の関心の高さがうかがえました。

今回は講師が中国出身であり尚かつ時間の制約もあったため、中国出身者や中国在留邦人の方の現状報告に限られてしまいました。そのため、日本に住む他の外国人の現状も知りたいという声も聞かれました。多言語対応可能なサービスは限られており、どこの事業所がどの言語を対応できるかを探し当てるのも大変、という李氏の報告から介護現場における課題がうかがえました。あーすぷらざとしては何かができるのか引き続き模索しながらも、介護について学び続ける必要性を実感する実りの多い機会となりました。

ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。今後も皆さまからいただいたご意見を反映し、より良い研修会の場を設けたいと考えております。どうぞよろしくお願い致します。

 

1. 目 的:相談対応の向上等を含めた相談業務に必要なスキルの習得のため
2. 日 時:2023年 11月9日(木)18:00~19:30
3. 会 場:あーすぷらざ(オンラインZoom開催/中継会場:応接室)
4. 対 象:神奈川県内各市町村の外国人相談窓口担当、神奈川県内国際交流ラウンジ、NPO、市民団体、支援団体他
5. 参加者:25名(講師1名・あーすぷらざ職員4名含む)
6. 講 師:社会福祉法人奉優人 李 牧遥氏
7. テーマ:「介護が必要になった時どうする?~日本で最期を迎えるということ~」
8.内 容:
①講義:70分(途中休憩10分含む)
②質疑応答:20分

 

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