【実施報告】第5回外国籍県民相談等に関する研修会

■目 的:相談対応の向上等を含めた相談業務に必要なスキルの習得のため

■日 時:平成31年2月22日(金) 18:00~20:30

■場 所:かながわ県民センター305会議室

■対 象:神奈川県内 外国人相談窓口関係者ならびに外国人支援活動団体等

■参加者:24名(あーすぷらざ多文化共生・情報課 職員3名含む)

■講 師:公益社団法人神奈川県宅地建物取引業協会 前常務理事

公益社団法人神奈川県宅地建物取引業協会川崎南支部 前支部長、現相談役 木村 教義氏

特定非営利活動法人かながわ外国人すまいサポートセンター 理事長  裵 安氏

■テーマ:「外国籍県民の住まいに関する現状と課題と支援」

■内 容: 1.住まいに関する相談に必要な基礎知識

・住まいに関する基礎知識

・不動産業者として「外国人と住まい」にどのようにあたっているか

・外国籍の方が不動産を借りる際の課題

2.外国籍県民を取り巻く住まいの現状と課題

~住まいの問題から見える様々な課題~

3.ケースワーク

■成 果:

第5回となる研修会では、原状回復や契約、賃料滞納等といったトラブルによる相談が多く寄せられているにも拘らず、これまで研修会のテーマとして取り上げたことがなかった「住まい」をテーマに研修会を行いました。講師には、公益社団法人神奈川県宅地建物取引業協会川崎南支部 前支部長、現相談役であり、川崎で外国籍の方に寄り添った不動産店を営む木村教義氏と住まいを中心とした支援を行う特定非営利活動法人かながわ外国人すまいサポートセンター(以下すまセン)の裵安氏からお話しをいただきました。木村氏から、取分け外国籍の方との賃貸契約を結ぶ上で、先ず相手と仲良くなり、お互いの信頼関係を築き双方の賃貸借契約に関する条件を一致させていく事を大切に行っていると伺い、不動産の賃貸者では日本人に貸す場合も外国籍の方に貸す場合も、お互いの信頼関係は重要事項であると感じました。一方で外国籍の方に部屋を貸す場合、日本との文化や習慣の違いに苦労されている面もあるようで、例えばガスの使い方やタバコでのクレームがあると伺いました。また、契約書で記入の必要がある「緊急連絡先」については、同行人の紹介者や通訳者を記入してもらったり、外国の方に馴染みのない「礼金」についても丁寧に説明しているとの話を伺い、柔軟かつ外国籍の方と良い信頼関係を構築するべく努力されていると感じました。また、実際に使われている資料等を提示しながらの説明は参加者からも「借りる側(外国人)の困り事と貸す側の困り事が知れてよかった」といった感想や、通常不動産店や宅建業者とはあまり接点がないことから「顔の見える関係になれたことは重要」といった感想をいただきました。

続く裵安氏の、すまセン設立の経緯や活動のお話しは、外国籍の方が簡単に部屋を借りられない切実な状況が背景にあることを振り返ることができました。外国籍の方のイメージとして「うるさい、汚い、家賃滞納する」といったネガティブなものであったり、外国籍の方に部屋を貸した経験がない等の、今の日本では考えられないような偏見や差別があり、当時日本で暮らす際の苦労の多さに驚きを禁じ得ませんでした。その後、多言語での家さがしや賃貸借間のトラブル解消を目的にすまセンが設立され、住宅関係以外でも「借りる・暮らす」に関係する諸問題に対応していくことになり、現在では生活困窮や生活保護、DV被害等の暮らしにまつわる複雑な問題解決に向けた支援をしています。今後の支援体制として不動産業者はもちろん、ケースワーカーや生活困窮者自立支援団体、地域包括センターや社会福祉法人、弁護士や行政書士、学校、病院等と連携・協力をしながら攻める支援をしていくとのお話を伺いました。参加者からは「住まいに関しても差別があると考えさせられた」「外国人に関する考え方を学んだ」と言う声や「いろいろな支援制度について知ることができた」「直面している課題とその対応方法についてわかった」「相談員としての心構え等、基本的なことを教えていただいた」「今後の業務にあたる時に役立つ内容、自分の感覚、視点について考えさせられた」等の今回の「住まい」というテーマを超えて自身の相談業務や姿勢という点で気づきを得た参加者も散見されました。

最後はグループに分かれてケーススタディを行ないました。実際に近い事例を元に参加者たちが、積極的に意見を出しディスカッションに参加している姿が特に印象に残っています。参加者からは「具体的なケースでどういうアプローチが可能なのかわかった」「グループワークでいろいろな人の考え方がわかった」といった感想が多くありました。通常、すまいサポートセンターに繋ぐことの多い住まいに関する相談について、具体的な内容と実際に対応や支援を行うといったイメージをもって話し合うことのできる良いワークの時間となったと思います。